契約不適合とインスペクション

  • 2023.09.27.

    売却

    契約不適合とインスペクション


不動産売却において、引き渡した不動産に不備や不具合があった場合は、売主は買主に対して責任を負わなければなりません。
これを「契約不適合責任」といい、不動産売却する際には必ず知っておきたい法令の一つです。
そこで今回は、これから不動産売却をご検討中の方へ向けて、契約不適合責任とは何か、その概要とトラブルを未然に防ぐための「インスペクション」について解説します。
八王子市を中心に西多摩エリアで不動産売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

不動産売却するなら知っておきたい!「 契約不適合責任」とは?

契約不適合責任とは、契約内容に合ったものを引き渡す義務があるにもかかわらず、引き渡し後に種類や品質、数量について不備や不足があった場合に売主が買主に対して負う責任をいいます。
つまり、契約内容と異なるものを売却した場合に「契約不適合責任」に問われます。
ここで大切なのは、売却する不動産の状況をしっかり把握することです。
万が一不具合などがある場合は、きちんと契約書に記載することで責任を負うリスクを回避できるのです。
たとえば、八王子市にある不動産を売却する場合で考えてみましょう。
その物件には雨漏りがあるとします。
この場合、「雨漏りがする物件」と把握した上で契約書へ記載し、買主側も納得して購入する場合は、「契約不適合責任」を問われるリスクは回避できるでしょう。
対して、雨漏りがある物件にもかかわらず売買契約書へ記載していない場合は、引き渡し後に修繕の請求や補償を要求されるケースもあるため注意が必要です。

不動産売却時の契約不適合責任で認められている買主の権利とは?

購入した不動産に不具合があった場合、買主の権利として以下の5つの請求権が認められています。

買主の権利その①追完請求とは?

追完請求とは、引き渡した不動産に不具合があった場合、あらためて完全な状態にするよう請求できる買主の権利です。
不動産売却後に種類や品質、数量が契約内容と異なっている場合に、追完請求により完全な状態にするよう買主の権利として売主に求めることができます。
不動産売却時における追完請求は、修補請求となることが一般的です。
なぜならば、不動産は特定物(この世に同じものがない)のため、数量を追加する概念がないからです。
先ほどの雨漏りを例に考えてみましょう。
売買契約書に「雨漏りなし」と記載したにもかかわらず雨漏りした場合、買主は「雨漏りの修繕をしてください」と追完請求できます。
つまり契約不適合責任を負わないためには、物件の状態をきちんと把握し、契約書に記載することが重要なポイントです。

買主の権利その②代金減額請求とは?

代金減額請求は、売主が追完請求に応じない場合に、売買代金を減額するよう請求できる権利です。
また土地の面積が足りない場合や、売主が追完請求を明確に拒んでいる場合、補修自体ができない場合は、はじめから代金減額請求ができます。
代金減額請求をする際は、買主側が相当の期間を定めて追完の催告をし、その期間に追完を履行しない場合に、代金減額請求をします。
つまり、補修可能な場合は追完請求により直してもらい、売主が直せない場合や直さない場合に「代金減額請求」により売却代金の減額を請求できるのです。

買主の権利その③催告解除とは?

催告解除とは、追完請求をしたにもかかわらず売主が実行しない場合に、買主が催告後に契約解除をすることです。
代金減額請求との違いは、補修や減額では済まされない状態にある場合です。
売却代金が減額されても、購入した不動産に住めない場合や補修に多額の費用がかかる場合は、そのまま住み続けることはできません。
そうした場合に購入をやめる意思を伝えるのが「催告解除」です。
一般的に売買契約後の契約解除は違約金が発生しますが、催告解除の場合はかかりません。
そもそも契約はなかったものとして扱われるため、売主側から買主側へ売却代金を返還しなければなりません。

買主の権利その④無催告解除とは?

無催告解除とは、売主へ催告することなく契約解除できる権利です。
無催告解除については以下5つのケースにおいて適用可能です。

債務の全部が履行不能
債務者が債務のすべての履行を拒絶する場合
上記2つの場合で、残存する部分のみでは契約の目的が果たせない場合
定期行為の時期を経過した場合
催告しても契約の目的を果たせないことが明確な場合

このように契約の目的が達成できない場合や、履行が不可能な場合にただちに契約解除ができます。

買主の権利その⑤損害賠償請求とは?

損害賠償請求とは、追完請求を受けても補填できない損害が発生した場合に請求できる権利です。
ただし、売主の責任によって発生した損害ではない場合、損害賠償請求はできません。
また損害賠償請求の範囲は、以下のとおりです。

信頼利益:登記費用や契約締結のための準備費用など、契約が有効だと信じて被った損害
履行利益:転売利益や営業利益などのように、契約が履行されたならば得られたであろう利益を失った損害

このように、不動産売却において買主が売主への責任追及のために取り得る手段は多く、売主は「契約不適合責任」を問われないよう、十分に気を付けなければなりません。
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不動産売却時の契約不適合責任を未然に防ぐ「インスペクション」

最後に、契約不適合責任によるトラブルを未然に防ぐ、「インスペクション」についてご紹介します。
インスペクションとは、「既存住宅状況調査技術者」の資格を持つ建築士による、建物の欠陥箇所や劣化度合いの有無について点検・診断をおこなうことです。
不動産売却の前にインスペクションをおこなうことで、建物の劣化度合いを把握できるため、契約不適合責任によるトラブルを未然に防ぐことが可能です。
また買主にとっても、プロの視点で診断されたインスペクション済みの住宅であれば、安心して購入できるというメリットもあります。
そもそも不動産売却をする際は、公平な取引を実現するために、売主は買主に対して不動産の状況を説明する「告知義務」があります。
告知義務を怠ると、「契約不適合責任」に問われるのです。
告知義務は以下の2種類に分類できます。

物理的瑕疵:建物の欠陥や不備(雨漏りがする、シロアリの発生など)
心理的瑕疵:不動産が本来あるべき快適な住み心地を欠く状態(自殺、殺人があった建物など)

このうち、物理的瑕疵において有効なのが「インスペクション」です。
インスペクションでは、以下の部分の検査をおこないます。
構造耐力上主要な部分
床・壁・基礎・外壁・柱および梁・バルコニーなど
雨水の侵入を防止する部分
小屋裏・屋根・軒裏・内壁・天井など
基礎や外壁などのひびや破損、雨漏りの有無などを目視または非破壊検査によりチェックします。
このようにインスペクションを実施することで、不具合箇所が見つかり、修繕が必要となる場合もあるかもしれません。
しかしながら、知らずに売却してしまい引き渡し後にトラブルが発生するよりは、費用も最小限で抑えることができ、何よりも安心して売却できるでしょう。
また買主にとっては、購入後の補修費用や将来のメンテナンスの計画も立てやすくなるというメリットがあります。
購入後の不安要素が軽減できることから、同条件の物件と比べた場合、早く売却できる可能性があるでしょう。
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まとめ

納得いく価格で売却できても、売却後に欠陥が見つかると追完請求や損害賠償請求など、多額の費用を支払うことになるため、注意が必要です。
不動産売却をする際は、いくらで売れるかの前に、きちんと建物のコンディションを把握すると良いでしょう。
八王子市を中心に西多摩エリアで、売却前の不動産のコンディションについてお悩みの方のお力になります。
弊社までご遠慮なくお問い合わせください。